青い車

題名とキャスティングで、ずっと気になっていた作品で、やっと見ることができました。

漫画家よしもとよしともの同名傑作を奥原浩志監督が映画化。原作の漫画は、90年代の作品なのですが、若者たちの日常にある孤独、退屈、あきらめを描く感覚は、今の時代も色あせていない。というよりか、若者というものは、アイデンティティを求めて、いつの時代も虚脱感を持ち続けているのだろう。

目の前に起こる、また自ら起こしてしまう事のリアリティある痛さは、消化することができなくなってしまっても、答えはずっと見つからなくても・・・それでも生きていかなければならない。

リチオ(ARATA)は、マチダ(田口トモロヲ)がやってる中古レコード店に勤めながら、時々クラブでDJをしている。平穏であり、いいようのないイラ立ちを感じながら、ただなんとなくやり過ごす日々。

ある日、リチオは、恋人アケミ(麻生久美子)の妹、このみ(宮崎あおい)と関係を持ってしまう。このみは、姉 アケミにリチオとの関係を話してしまうのだが、翌日、仕事で熱海に向かうアケミは交通事故で死亡してしまう・・・。

普通の高校生の可憐さを持ちながら、どこか危うい少女を宮崎あおいが好演。といよりか彼女自身が持ち合わせているのでは無いかと思わせるほどだ。

宮崎あおいは、1985年生まれで、ある雑誌インタビューで「大人にはなりたくない」と言っていた記憶がある。一方、同世代の若手女優 長澤まさみは雑誌インタビューで「早く大人になりたい」と発言していた。
長澤まさみの方が年下で、1987年生まれなんだけど、ここ最近彼女が急に大人の女優の領域に入ったのに対して、宮崎あおいの少女っぽさと言った感じは、いつまでも持ち続けていそうな感じがする。(NHK「純情きらり」でも、そうですしね。)

この世代の内面的な考えがこうまで、女優としての印象を形付けてしまうことに驚きを隠せない。若手女優から大人の女優へ変わるとき、その映画に立ち会えた監督は幸せだとは、ある監督の言葉ではあるが、その時代と映画を共有できる事は、見ていてうれしい。

ARATA、宮崎あおい、麻生久美子、田口トモロヲ、水橋研二といったインコース渋いとこをついたキャスティングです。このキャスティングは、意外と好きな人は多いのではないかと思いますね。(笑)

真っ直ぐな感受性が不条理や割り切れない思いを抱きながら、繊細な心情で傷つきながらも生きていく、若者たちを静かな映像でクールに描いた作品ですね。

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