世界はときどき美しい

何気ない毎日の積み重ねが、私たちの人生そのもの。
しかし、その積み重ねは、自分しか知らない。いや、自分さえもよく理解していないかもしれない。

毎日人に見られるヌードモデル 野枝(松田美由紀)は、見られて消費されていく自分を「トイレットペーパーのよう」と言う。

毎晩、千円だけ持って街へ繰り出し、飲み潰れる自堕落な生活を送る蝿男(柄本明)と呼ばれる男。
「目をとじて気を失えば、明日になっている」とコースターに書いて笑う。

セックスが終わった後で、いつも彼氏のリアリティが感じられないまゆみ(片山瞳)。

大学で天体の研究をする柊一(松田龍平)は、恋人 朋子(浅見れいな)から妊娠を告げられる。
何処かに去ってしまいたい気持ちを朋子に悟られる。

母親を実家に一人残し、都会で働く花乃子(市川実日子)。自分は母 静江(木野花)の事を何も知らない。
好きな本も音楽も知らない。

一人称の会話で誰かに語りかけるように映像は進んでいく、モザイクのような個人の物語。

生活、生きる、時間、日常。
あまり代わり映えのしない自分自身の生活も、ちょっとした出来事や心の変化で、感動したり、泣いたり、怒ったり、戸惑ったり、思い出したり、など・・・でも、それだけでも、生きるための理由になる。

だから、世界はときどき美しい。

と、感じたんだけれど、生活や日常から綴る文学みたいな作品で、ロジカルに構成されたメジャー映画とは、ほど遠い作品。
感覚的に風景を見るような、そんな映画だと思う。

考えてみれば、日常ってシナリオがあるわけでも無いし、「なぜこんな事になったんだろう」と思うってしまうくらい、分かり難いものだ。むしろ、意識する方が少ない。
でも、そんな何の変哲も無い日常で・・・ときどき光が差し込み、世界が美しく見える事がある。
だから、流れるような個人の内面を語る物語を見ることで、そのなかに自分を見つけてしまう。

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