松ヶ根乱射事件

90年代、バブルが崩壊した直後・・・しかし、そんな実感はテレビの中からしか見えてこない、取り残されたような、ある寒冷地で起こる事件。
コミカルな脚本と、ありがちな日常風景の映像の奥にブラックユーモアな怖さを感じさせる。

この町には、双子の兄弟がいた。兄 鈴木光(山中崇)は、定職にも就かずブラブラしており、気が向いたときに家業の畜産業を手伝っている。弟 光太郎(新井浩文)は警察官をしており、家族の中ではしっかりした存在。

家業の牧場は、姉夫婦が切り盛りし、父親 豊道(三浦友和)は、事情があって美容院を営む 泉(烏丸せつこ)の家に転がり込んでいる。

ある雪の日、光は、赤いコートを着た女 池内みゆき(川越美和)を車で跳ね、ひき逃げ事故を起こしてしまう。
しかし、一時は死んだかと思われていた女は、検死を受けているとき、息をしているのが分かる。
女は退院すると、やくざ風の男 西岡佑二(木村祐一)が待つ旅館に行く。この二人は、何かいわく付きのある関係のよう・・・。

そして、二人がレストランで食事をしている時、光がその店にやって来る。女は、ひき逃げした光の顔を覚えており、光は、西岡とみゆきに拉致され、脅かされるようになる。

光は、鈴木家の所有している古い家を二人に住まいとして与え、凍った湖の氷に穴を開ける作業を手伝わされる。
さらに二人は、金銭を要求し、光は段々と追い込まれて行く・・・。

豊道が転がり込んでいる、美容院を営む泉が、知的障害者の娘に売春をさせたり、その娘が痴呆症の祖父にいたずらされるとか、モテるようになる金塊に30万円も出してしまう同級生がいたり・・・。
一見「のどかなで平和」に見える田舎の生活感のある映像の中で登場する何処にでもいるようなおかしな人たち。

そんな町に、怪しいカップルが訪れることで、段々とバランスを失っていく地方都市の生活。
本当にありそうな脚色が無い物語が妙にリアリティを感じさせる。

しかし、この映画のように、おかしな巡り合わせで、誰でもトラブルに巻き込まれるかもしれないと考えると少し怖くなってしまう。
きっと、事件というのはミステリーの中で起こるのではなく、平凡な日常の中で起こるのであろう。

全体的に、演技派の役者が出演しているが、三浦友和の家族から信頼されずいい加減でピントのずれた怠け者の父親役がかなり印象に残る。
さらに、ヤクザな西岡の女役として川越美和が出演して検死のシーンでは全裸だったり、木村祐一と濡れ場などを演じているのも見所。
彼女は、80年代後半に日本レコード大賞新人賞も受賞しており、90年代のアイドルとしてドラマやCMなどにも出演。2007年に所属事務所を辞め、現在は、芸能界から引退している。

また、映画の冒頭に「これは、実話に基づいた話である・・・」といったテロップが表れるんだけれど、実際は、作られたシナリオだそうです。

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