悪の教典

「海猿」の伊藤英明が海猿シリーズ以上に眩しく爽やかな教師を演じる。そして、その本性は、感情を持たない頭脳明晰なサイコパス(反社会性人格障害)として、悪魔のような策略や殺戮を学園に持ち込むバイオレンス映画。

監督は、任侠バイオレンスものをバックボーンとする三池崇史で、普通の高校生が散弾銃で虫けらのようにバンバン殺されるという、R15+指定作品。
意味とか考えるより、エンターテイメントとして見る映画です。当然ですけど。

物語は、私立晨光学院町田高校の英語教師 蓮実聖司(伊藤英明)は、ルックスも良くて人望が厚く、生徒から「ハスミン」と愛称で呼ばれる人気教師。

ある日、蓮実は女子生徒たちから安原美彌(水野絵梨奈)が教師 柴原(山田孝之)に万引き目撃され、それをネタにセクハラを強要されているという相談を受ける。

蓮実は、安原と万引きした店に謝罪に行き、柴原に対して「生徒を脅迫する先生こそ立場が危ないのでは?」とメールを送らせ、柴原からの強要を封じ込める。

そんな頼りがいのある蓮実に対して、生徒たちは一層信頼を置く。

一方、学園では、学力テストのカンニングが問題になっていた。
ケータイを利用したもので学力テスト自体が無意味なものになりかねない状況であった。

蓮実は、テスト中に妨害電波を出しケータイが繋がらない状態にする提案を職員会議でするのであるが、電波法に違反する行為で却下される。
結局、テスト前に携帯を回収することになるのであるが、テスト当日、学校内のケータイは、圏外になっていた・・・。

教師 釣井(吹越満)は、蓮実の仕業と感じた。釣井は一見、爽やかで非の打ち所のない蓮実の内面に危険なものを感じており、その過去を調べていた・・・。
また、蓮実は、美彌と肉体関係を持つようになり、さらに、クレイマーの父兄を事故と見せかけて殺してしまうなど、爽やか教師の内面に隠された、狡猾かつ残忍さを影で実行するようになる。

学園の雰囲気は、よく表現されており、普通の高校に冷徹な殺人鬼が潜む恐怖と、それが暴れだす劇場的なバイオレンスが見所です。

また、「ヒミズ」でヴェネチア国際映画祭で最優秀俳優新人賞を受賞した二階堂ふみ、染谷将太や「桐島、部活やめるってよ」の浅香航大などのキャスティングも、この作品を魅力的にしているように思う。

日常生活でも、サイコパスではないけれど、アスペルガー症候群(社会性・興味・コミュニケーションについて特異性が認められる広汎性発達障害)など、感情や思考論理が不可解な人にめぐり合うことがある。
その時、一番厄介なのは、「本人が悪いと思っていないこと」だ。

決して人間性が悪いわけでもなく、むしろ色んな人との関わりで良い方向にして行きたいと感じているんだろうけど、言動が周りを混乱させたり、感情を逆なでしたりする。

さらに、分かりにくいのは「気持ちの推測力が分からないという障害」をパターン化して対応を習得していくので、一見普通に見えること。
つまり、何かした時に相手が怒ったら、それをパターンで理解して、以降は同じ行動を取らないようにするんだけれど、感情としてはまったく理解できていない。

サイコパスは、「反社会性人格障害」なので、まったく違うんだけれど、蓮実が性格異常でありながら、社会生活をおくる上で「共感」というものではなく、分析による学習により、普段の日常に生きているという部分は共通するのかもしれません。
※アスペルガー症候群とサイコパスとの間には医学的な関連は無いそうです。

あと、あの終わり方だと続きがある感じで「海猿」が次回作はないというし伊藤英明の次のシリーズになるんだろうか。

また、個人的に「邦画会(邦画を楽しむ会社内のサークル)」の創設者の一人、N氏が退職されるということで、在職中に見に行った最後の映画として、記念に残る作品であります。

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