てぃだかんかん

世界で初めて養殖サンゴの移植・産卵を成功させた男とその妻の実話に基づいた物語。
美しい沖縄の海や浜辺を舞台に、好きなことを仕事にして貫き、困難を乗り越えて夢を実現する姿を描く。

「夢」とか「未来」が「明るい」と語りにくい世相になってしまっているんだけれど、そんな中でも、好きなことを仕事にして、やり続け、やり抜く生き様の美しさに胸を打たれる。

どんな仕事をやっても長続きしない金城健司(岡村隆史)は、幼馴染の由莉(松雪泰子)を追いかけて、名古屋に行っていたのであるが、結局そこでも仕事が続かず、故郷・沖縄に戻ってきた。そして、親の反対を押し切って金城と由莉は結婚する。

借金を抱えたままの健司であるが、まったく悩んでいる様子が無い。しかし、思いつきのようにはじめた水槽サンゴが見れるバーを開店し大成功を収める。

健司は、バーをチェーン展開して借金を返済するが、沖縄のサンゴ礁が死滅しつつあることを知り、すべての店を閉め、健司はサンゴの養殖に人生の全てを賭けることをにする。

この自然サンゴの養殖には、高い技術的な研究が必要で、様々な試行錯誤を経て実現していく。しかし、いざ海に養殖しようとすると漁業組合による大反対が起こる。さらに、高名な大学教授たちからは、生態系を破壊すると発言されてしまい、養殖が暗礁に乗り上げる。

そして、自然サンゴの養殖がマスコミに取り上げられると、助成金による開発を持ちかけるものや、不動産コンサルタントに騙されたりと、様々な誘惑や困難が立ちはだかる。

借金は膨れ上がり、地域では村八分にされ住居の壁面には批判のポスターが張られたり、スプレーによる落書きが書かれたり、恫喝の電話がかかって来たりと自分も家族もぎりぎりの所まで追い詰められてしまう。

ただ、昔のように美しいサンゴの海に戻したいだけなのに、前に進めば進むほど、過酷な状況の中で歩まなければならなくなる。

普通の感覚で見たら、バーをそのままやってたら、地元ではちょっとした成功者となって裕福で気楽に過ごせたと思う。また、助成金を受けてゼネコンと一緒に開発事業に乗り出したら、すぐに借金を返済できた。

美しい理想を描くことは簡単なんだけど、それを実現するには、過酷な現実を変えていく必要がある。窮地に陥ったとき、一番の敵は自分の心の中にあるということが深く心に刻まれる物語。

また、そんな中でも沖縄の海は、美しく、ただ見守っている。そんな空気感も好感が持てる作品でした。

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