今までの人生のほとんどを教会という規律のなかで暮らして来た修道女が40歳になり、更年期を迎える。
そんな彼女が、バレエ教室のレッスンピアノを引き受けたことをきっかけに自分の殻を破り、「生」を実感する物語。
とても内面的なことを描いている作品です。
修道女役にミュージシャンの柴草玲、バレエの先生役にバレエダンサーの西島千博をキャスティングしており、普段着な佇まいの演技、クオリティの高い音楽とバレエが「日常の中にある感動」を見ているようで、心を打たれる。
物語は、40歳を迎えた修道女の真梨子(柴草玲)は、更年期を迎えて密かに思い悩んでいた。
修道女の暮らしは、自宅と教会を往復する繰り返しで、交流も教会に訪れる人と話すくらい。外出は、神父から頼み事をされたときのみ出かけるだけであった。
ある日、真梨子は、教会に通っている人からバレエ教室のレッスンピアノを頼まれる。
初めてレッスンピアノを弾いた時、バレエ教室の先生(西島千博)より、「譜面どおりに弾かずに自分が踊っているつもりで弾いてください」とアドバイスを受ける。
その日から真梨子の生活は、張りのあるものに変わって行く。
「自分も踊るように弾く」。それは、自分が楽しみながら演奏することであり、いつしかレッスンでピアノを弾くことが楽しくなっていた。
そして、バレエの先生に憧れを抱くようになる。
また、余命が短い信者から生き別れた息子へ手紙を渡して欲しいと頼まれ、その息子に手紙を渡しにいくのであるが・・・。
バレエ教室でピアノを弾く最後の日、真梨子が弾き始めた曲に合わせてバレエダンサー役の西島千博が即興で踊るシーンがある。
曲とバレエが一体になり、それは、まるで恋人たちの戯れのように見えてしまう。すごい。
ピアノとバレエと言う要素のなかに商店街を自転車で走り回ると言ったコミカルな演出を加え、生活感あふれる仕上がりも見どころ。
さらに、言葉の少ない作品で、叙情詩のように内面的な感情を表現しているが、所々のコミカルな表現により、それが主人公のユーモラスで温かい部分に触れた気持ちになる。
とても、後味が心地よい作品です。




