地方の県立高校を舞台に17才の悶々とした世代感を描いている青春映画。
原作は、朝井リョウが早稲田大学在学中に小説すばる新人賞を受賞した同名小説。監督は、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の吉田 大八。
学校の中でおこる、グループと言う階層、嫉妬、虚無感など、些細な葛藤を内面に踏み込んだリアリティで描ききっている。しかし、その分、物語性を犠牲にしている面もあるけど。
地方都市の高校が舞台。ある金曜日、バレー部のキャプテンの桐島が突然部活を辞めた。そして、その日から彼は、学校に来なくなってしまった。
桐島は成績も優秀で、スポーツも万能で格好も良かった。そんな桐島の彼女は、学校で一番の人気女子 梨紗(山本美月)。
彼女も桐島が何故、部活を辞めたのか知らない。また、桐島と仲が良い野球部の宏樹(東出昌大)や帰宅部の竜汰(落合モトキ)、そして、バレー部の風助(太賀)らも彼が部活をやめた理由を知らなかった。
桐島の活躍で、バレー部は県大会にも出場できそうな勢いであったが、彼が抜けた後にレギュラーになった風助。内心レギュラーになれて喜ぶ自分に嫌悪感を感じたまま日曜日の練習試合に臨むが、結果は惨敗。
桐島が抜けたチームがままならない状態の苛立ちを過酷な練習で風助にぶつけるチームのメンバーたち。
隣のコートのバトミントン部の実果(清水くるみ)は、桐島と比較される風助の事が自分の事であるように感じていた。彼女の姉は、バトミントンの県大会で四位に入るほどだったが、数年前に亡くなってしまった。自分は、姉のようになれない・・・。
映画部の前田涼也(神木隆之介)は、クラスの中では最下層と言われるオタクグループに属している。映画甲子園と言われるコンテストの第一次選考を通るが、二次選考で落ちてしまう。
顧問の先生から、次回作も一次選考が通った同じ路線で青春ものを撮るようにアドバイスを受けるのであるが、前田たちは、本当に自分たちが撮りたいものを撮ろうと宇宙からやってきたゾンビものの作成に取り掛かる。
校舎の屋上で撮影を始めようとするのであるが、そこには吹奏部の部長 沢島亜矢(大後寿々花)がサックスの練習をしていた。日が沈んでしまうので、場所を譲ってくれと頼む前田であるが、彼女は、頑としてここで練習すると言い張る。彼女は、いつも屋上から宏樹を見つめていたのだ。
ある日、映画館で「鉄男」を見に行き、感動に浸っていた前田。立ち上がって、振り向くと同じクラスの東原かすみ(橋本愛)がいた。二人は中学も同じクラスだった、お互い映画が共通の趣味で話が合ったこともあるのであるが、活発なかすみは、バトミントン部に所属しており、梨紗や沙奈(松岡茉優)、実果のグループといつも一緒にいた。
会話もそこそこに、帰ってしまったかすみ。しかし、前田は満足げにペットボトルのカフェオレを飲み干す。
桐島とまったく連絡が取れない梨紗の所にバレー部の風助たちがやって来て、「桐島から何か聞いていないか?」と問うのであるが、風助に向かって「レギュラーになれて良かったね」と皮肉たっぷりに突き返す。
平穏のように見えた、クラス、部活、グループに微妙な歪みをもたらす・・・。
見方によっては何を伝えようとしているのか、さっぱりわからないと思う。
この作品は、学校の中での人気者、グループ、女子から嫌われるオタクなどの階層のなかで、煮え切らない混沌とした時期を、それぞれの立場からリアルに表現しているに過ぎないから。
そこから浮き上がってくるものが、この映画の訴えたいものだと思う。
それほど努力もしなくても、なんでもすぐできてしまう人には、毎日何が楽しくて部活をやり続けているのか・・・そんな事理解できない。
むしろ、その努力は、結果として報われる事は少ない。しかし、やり続けるって何だろうか。行き着くところは、挫折感を味わうだけかもしれない。しかし、本当は、その挫折感さえも理解できない事のほうが惨めかもしれない。
また、この作品の肝である、クラスやグループのなかで登場人物たちの交差する気持ちや、微妙な心理が丁寧に描かれていると思った。
映画部の前田は、冴えない男子部員たちと映画を撮っている。かすみに心を寄せているのであるが、彼女は、クラスの人気者たちのグループに属している。気づくと、かすみを見つめてしまうのである。
かすみは、そんな視線を感じてはいるようであるが、なんでもそつなくこなし、付き合いも幅広い彼女は、何を考えているのか分からない。
期待されている吹奏部の部長 沢島亜矢。優等生で責任感の強い彼女は、コンクールを控え、部をまとめていかなければならないと思っているのであるが、クラスの前の席の宏樹の事が気になってしまう。
宏樹には、沙奈という彼女がいる。しかし、そんな事よりも、自分がしっかりして、演奏を仕上げていかなければならないと思っているのであるが気持ちの整理がつかない。
野球部の宏樹は、いつの間にか部活に出なくなってしまった。三年の先輩にいつも誘われるのであるが、なんとなく行く気がしない。自分が行けば、野球部はもっと強くなることが分かっているのであるが、どこか冷めてしまった。
しかし、そんな自分に、つまらなさも感じている。
こんな感じで、モザイクのようにバラバラな個人の物語が、桐島が部活をやめたことで、振り回されながらも、登場人物たちが行き着く、また、つながりをもたらすみたいな。そんな作品です。
しかし、今の高校生の子たちが観たらどう思うのだろうか。




