どんずまり便器

公開前の作品ですが「どんずまり便器」と言う作品を試写させてもらいました。

この作品で主演を演じている葉菜葉という女優は、確か「アイマイミーマイン」、園子温監督の「夢の中へ」で見た事があり、そのビッチで軽い女的な印象が記憶に残っている。

本作品は、この葉菜葉と言う女優が愛情に屈折し、粗暴でどうしょうもない「どんずまりな女」を演じている。

物語は、ナルミ(葉菜葉)と圭(中村邦晃)の姉弟は幼い時に両親を亡くしていまう。
両親の葬儀の日に起こった「ある出来事」をきっかけに姉は屈折し荒んで行く。一方、弟の圭は貧しいながらも真面目に育って行く。

数年後、三角関係のもつれから相手を刺してしまったナルミは刑務所に服役していたのであるが、刑期を終えて家に帰って来る。

しかし、そこには弟と同棲しているカナ(菅原佳子)がいた。屈折した弟への愛情を抱くナルミは何かとカナに辛くあたり、いろんなトラブルをおこすようになっていき、姉弟は次第に「どんずまり」になっていく…。

作品の印象は「オトナの中学生日記 ATG版」と言う感じでした。

主人公の姉弟は普通に考えたらどうしようもなくドン底の状態でありながら、作品全体の雰囲気は重さと言うか暗さはない。これは、意図的なものかどうか分からないけれど、演出が軽い感じて深刻な場面でもリアリティが無いからだと思う。
まあ、このような「トラウマ」みたいなものをテーマにする場合、こういった現実味のない方が見やすいのかな。

あと、姉が思春期のトラウマとして執着してしまう「家族愛」「性愛」の混同みたいな部分に焦点をあてている視点は、NHK「中学生日記」に通じるものがある。というより、本来はその世代で消化すべき愛情や性について理解できないまま大人になっても答えが出せないまま、どんずまって前へ進めない。という感じです。

また、様々な捉え方ができそうなシュールなエンディングや音楽のギラギラした感じは、かつてのATG作品にも通じるものがあるのかな思った。

作品としては女性の中にある、「産むための性」と「戯れの性」と言う不安定でアンバランスな体。そして、心はもっと不安定であることを描こうと格闘している視点については評価できるのではないかなと思いました。
ただし、こういうテーマは、男性としては理解を超えたものがあるし、女性的な立場から考えると好き嫌いがあるかも。

2012年4月14日〜 渋谷ユーロスペースなどで上映。

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