深夜に観たんだけれど切なくて寝付けれなくなってしまった。注目されるU-25世代俳優の松田翔太、高良健吾、安藤サクラの出演作品。監督は、大森立嗣。
この作品、二世俳優や兄弟俳優がけっこう出演している。松田翔太が松田優作の二男、安藤サクラが奥田瑛二の次女、柄本佑が柄本明の長男、宮崎将が宮崎あおいの兄です。さらに監督の大森立嗣も大森南朋の兄であり、舞踏家の麿赤兒の長男だったりします。
物語は、孤児院で育ったケンタ(松田翔太)とジュン(高良健吾)は、解体屋で働いていた。毎日毎日コンクリートを壊す日々。
先輩の裕也(新井浩文)は、ケンタに何かと辛くあたる。また、兄(宮崎将)の損害賠償だと言って毎月金を巻き上げる。ケンタの兄は、女児誘拐事件と裕也への障害事件おこして網走刑務所に服役中だった。
そんな毎日の憂さ晴らしをするために駅前でナンパを繰り返す。そして、ナナ(安藤サクラ)と知り合う。
ナナはジュンを気に入ってしまい半同棲のようになる。
ある日、飲み会でケンタは裕也に手を鉄板に押し付けられてしまい火傷をする。そんな暴力にも従わなければならない関係だった。
ケンタとジュンは全てを壊してどこかに行く事にする。ナナもジュンに着いて行くと聞かない。
事務所をメチャクチャに壊し、トラックを盗み、現場から銅線をパクった。
さらに、裕也の自慢の車を金づちとバナーで破壊して、兄が服役している網走へと向う…旅の終着点に何が待っているのであろうか。
この映画が描いているものは大きく二つあるのではないかと思う。一つは、よく題材にされる若者特有の爆走して止まらない破壊的な衝動。今までも他の作品でも受験戦争、学歴社会を背景に抑圧された青春、取り残された若者など、色んな切り口で作られてきたように思う。「高校大パニック」とか「青い春」とか。
そして、二つ目は、「格差」だと思う。居場所、家族、帰る処が無い。将来とか幸せとか考える事もできない。自分の未来を選ぶこともできない、そんな哀しく切ない立場や感情もあると言うこと。
「格差」というと、それは貧富や強弱というイメージを抱くのだけれど、その背景にある「世代」「時代」「家庭環境」など、社会や経済による歪みがもたらしているもののように感じる。
そういう意味では、痛みさえ分からず目の前にある障害物に対して、壊すことでしか進むことができないという主人公たちを描くことで、今の時代への強力なアンチテーゼだったのではないかと思う。
「世の中が悪い」的な発想の若者たちに対して過剰な弁護はしたくないのだけれど、街やコンビニでスクーターで爆走する若者を見ていると、この作品の主人公たちをイメージしてしまい少し切なくなる。
ただ、他の批評でもあるように最後の場面は、僕も異論がある。彼等は破壊する事で次の世界が開けると考えていた。しかし、最後がアレでは、「死んだら楽になれる」的で彼等らしく無い。
むしろ、バイクで激突する場面で終わればいいいんじゃないのかな。と思う。
あと、松田翔太が石を持って若者を殴る場面での表情は松田優作にそっくりでドキッとする。




