乱暴と待機

「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」の本谷有希子原作の作品の不条理ドラマ。奇妙で怪奇な人間模様をコミカルに描くもので、サブカルやマイナーな空気が好きな人であれば楽しめるかも知れない。

いつもトレーニングウェアとスウェットスーツという山根(浅野忠信)と奈々瀬(美波)の異質な風貌。
そして、山根の事を「お兄ちゃん」と呼ぶ奈々瀬。

そんな、二人が暮らす平屋建ての市営住宅に番上(山田孝之)とあずさ(小池栄子)の夫婦は引っ越して来た。

山根家に引越しのあいさつに訪れた番上は、スウェットスーツで般若心経を唱えている奈々瀬にちょっと引いてしまうが、奈々瀬の文脈が成り立たない言動や、パニックになり失禁してしまう精神状態に異様さを感じながらも興味を持ってしまう。

そして、妻のあずさは、山根と奈々瀬を見て驚愕する。
「あいつら、兄妹なんかじゃない…」

あずさは、二人と地元が同じで、高校時代、奈々瀬に男を取られた過去があり恨んでいた。さらに、変わり者の山根に対しても快く思っておらず、あずさは、とんでも無い暴力的な破壊行為で二人に嫌がらせをする。
あずさは、二人に市営住宅を出て行ってもらいたいのだ。

奈々瀬は、誰からも嫌われたくなく、強く言われたら断れない性格で、言い寄ってくる男といつも寝てしまう。
そんな奈々瀬に番上が興味を持っていることを察しているからだ。
しかし、その予想は的中してしまい二人は関係を持ってしまう・・・。
さらに、山根は屋根裏からいつも奈々瀬を監視しており、それを目撃してしまう。

兄妹でもないのに奈々瀬に「お兄ちゃん」と呼ばせ、軟禁しているような危ない同棲生活。そして、番上と奈々瀬の関係は、あずさに知られることになるのか。
愛しくも異質で偏執な人々は、何処に行き着くのであろうか・・・。

こんなドラマは、常識的な観点から見ると不条理で意味不明なんだけれど、本人たちにとっては、それぞれ理由があっての結果なんだろうと思う。

「永遠の愛は疑ってしまうけど、永遠の憎しみなら信じられる」
というセリフから感じられるように、トラウマ、偏執、憎しみ…。そんなものに縛られていて、まともな人間関係を築くことができない人たちが、めぐり巡って行き着く場所を求めていくような物語のような気もする。

その求める本能的なものが、不器用というか、遥かに常識を逸脱していて愛しく見える。

だけど、小池栄子って演技上手くなったよね。演技というか、逞しくて男が離れていってしまうようなキャラクター設定は、良かったかと思います。

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