30年間一人の男性を思い続けた女性の恋物語。
「……お兄さんやお姉さんたちはこの町を出て行くけれど、私は出ていかない。一生この町で生きていく……」 中学生のころ彼女が作文に書いた文章。
30年後、大場美奈子(田中裕子)は、牛乳配達とスーパーのレジで働き、すでに50歳になっていた。
この土地を出ることもなく、結婚もしていない。傍目から見ると何が楽しくて暮らしているのだろうかと、 思うほど平凡な日常を送っていた。
しかし、彼女には、30年間、秘かに思い続けていた男性がいた。 それは、高校時代に付き合っていたが、ある事件がきっかけで疎遠になってしまった相手で、この街の市役所に勤める高梨槐多(岸部一徳)だった。
美奈子の母親と槐多の父親が自転車に2人乗りして交通事故に遭い亡くなったことから、二人とも距離を置くようになってしまったのだった。
坂道の多い、よくある郊外都市の風景の中で、30年の月日を深く強い思いを抱いて、平凡な日々を送る美奈子。
彼女の思いは、あるラジオ番組への投書で思いがけない形になっていく。
この映画は、美奈子の母親の同級生で小説家の皆川敏子(渡辺美佐子)の小説という形で綴られる。構成がしっかりした作品で、登場人物たちの日常が交差する演出など、上手く描いていると思う。
また、今の社会が抱えている問題に登場人物たちが関わっていたりしているのも特徴で、市役所の児童福祉課に勤める高梨槐多は、食事を子どもに与えない親に児童虐待として社会福祉事務所と関わり児童保護をしたり、また妻 高梨容子(仁科亜季子)が末期がんであり、自宅療養で介護をしている。
そして、皆川敏子は、元数学者の旦那が老人性痴呆症で振り回されたりと、何というか・・すごく身近な出来事に感じられる。
若いうちはないと思うけど、50歳を過ぎた親戚や実家など、そういう問題を抱えている知り合いは、みなさんもいたりするのではないのでしょうか?
30数年間、ひとりの男性を想い続けた50歳独身女性の恋を描いたラヴ・ストーリーというかメロドラマ。 長い年月を隔てた彼女の恋は実るのであろうか・・。 設定は西東市という架空の町ですが、ロケは、長崎の町で行われています。



