江戸末期、伊勢の漁師 大黒屋光太夫たちが台風で漂流し、ロシアに流される。日本へ帰る事だけを願い、励ましあう漁師たちの凄まじい漂流記。
日本で唯一ロシアのエカテリーナ女帝に拝謁した大黒屋光太夫が主人公。
何百年の歴史の中で外国漂流した日本人のうち帰国した稀有の歴史的な人物でもある。この時代、江戸末期ということで、このような伝記は、新しい時代への幕開けを予感させる出来事であったのかもしれない。また、日本は、国民が漂流しても日本国を離れたものは入国することすらできない。鎖国時代という恐ろしい非人間的思考国家だったことを思い知らされる。国あっての国民というような時代なのだ。
実は、この大黒屋光太夫の話は「風雲児たち」(みなもと太郎 作)で知った。マンガの中ではエピソード満載なのであるが、この映画では、様々なエピソードが描ききれず非常に残念といえば残念だった。
しかし、激しい極寒を感じさせるロシアロケと実際にエカテリーナ女帝が乗ったとされる馬車などがふんだんに登場し、この映画のスケールの大きさがよく表現されていると思う。ソ連崩壊という時の撮影だったらしいが歴史的激動の時代というものは、そういう快さも認めてしまう雰囲気があるのだろう。
話を映画の中身に戻そう。
大黒屋光太夫は日本へ帰ることがやっと決まったのだが、ロシアでキリストの洗礼を受けているため日本へ入国できない船員がいた。その船員と別れるとき情熱的な接吻(いわゆる・・・ディープキス?男同士の・・・)をするのであるが、ロシア特有の風習ということです。ロシアでの長い生活が日本人でありながら、ロシア人の生活習慣がみについてしまったというエピソードなんだね。
当時のロシアの人道的な配慮に対して、徳川幕府の対応が非人道的だったことに、苦労して日本に帰ってきた光太夫の心は複雑だったであろう。
また、沖田浩之も熱演しています。涙ぐましい映画でもあります。


